お知らせ

9年間の義務教育最後の日

2020年03月14日

 ぬ

 昨日の午後、本日の卒業式が中止になりました。3年生と保護者の皆様にとっては、高校入試の日に3月から臨時休業、3月になり卒業式に来賓在校生は参加しない、先週は保護者は原則1名、そして昨日午後は中止という、悪夢の様なメールを送り続けたことをお詫びします。「なんでだ?」新型コロナウィルス感染拡大防止のため、頭では理解しても、心が悲鳴をあげています。

 昨日午前中は、保育実習でお世話になったちくみ幼稚園の園長さんが、「最後に下駄箱に飾ってください」とお花をもってお祝いに来てくださいました。また、この日を前に壊れていた掲揚台もなおしていただきました。ありがとうございました。卒業式はないけれど、本日3年生が立派に北中を卒業していくことは事実です。

 卒業式で話そうとしていた式辞を掲載して餞の言葉とします。

 式辞

 校庭の木々にもようやく春の兆しが見られます。
 このような佳き日に,三郷市立北中学校第58回卒業式を挙行するに当たりまして、保護者の皆様にご参列をいただきまして誠にありがとうございます。
 今年は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、3月から臨時休業となり突然みんなに会えなくなりました。卒業式も規模を縮小し、短縮し、来賓・在校生なしで、保護者1名の参加になりました。卒業生の皆さんが在校生でやってきたことが自分たちはしてもらえない。もちろん、在校生はやりたくてもできなかったのです。せめてもの思いで、祝う会用に作成した掲示物を式場の後ろに掲示しました。退場の時に見てください。このような異常事態で、思い出すのは、9年前の東日本大震災ですが、今回は、世界規模で起こっているところが大きく違います。15カ国2.9億人が臨時休業というニュースもありました。9年前といえば皆さんの小学校入学、義務教育の始まりでしたね。その頃は放射能汚染の心配で日本が揺れていたと思います。
 さて、卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。
ただいま,卒業生223名に卒業証書を授与いたしました。9年間の義務教育の終了に際し,昼夜を問わず温かい愛情を注ぎ育てられた保護者の皆様の喜びは、 ひとしおのものがあることと思います。 本当におめでとうございます。
 卒業生の皆さん、今日この式が終わりお父さんやお母さんに会ったとき「ありがとう」の一言をお願いします。
 小さい頃から、君たちの成長を祈り、見守り、支えてきたのは後ろに座っているお父さんやお母さんです。雨の日も、風の日も、病気の日も、健康な日も、暑い夏も、寒い冬も、君たちの笑顔を喜び、ふさぎ込んでいたら心を痛め、ひたすら君たちの成長を願ってきました。
 本当に感謝の心をこめて「ありがとう」をいってほしいと思います。
 私は三年前、皆さんとすてきな出会いをしてから「チャレンジ新北中 ワンアップ新北中 カーレッジ新北中」を合言葉に「夢をかなえる北中」の実現に向け、取り組んできました。
 教室での勉強に加えて、生徒会活動や部活動、バイキングの食べ放題に感動しながらも、必死に頑張ったスキー教室、春の運動会、修学旅行、真夏の部活動の大会、秋の合唱コンクールなど、どれもとっても懐かしく思い出されます。皆さんから北中学校は6学級になり、北中の歴史を塗り替えていったのは紛れもない事実です。
 また、今年度は天皇陛下の即位により元号が平成から令和に代わり、時代の変化も大きく感じました。
 令和初の卒業生として、盛大に準備使用していたのですが、数々の苦難を超えてやっと今日の形までたどり着きました。臨時休業の三月は、どんなことを考えましたか。当たり前のことが、突然、当たり前で無くなる。突然、義務教育が終わり、その先は、自らが決めた道を進むのです。
 新型コロナウィルスとか、東京オリンピックパラリンピック開催とか、困難や変化が大きい世の中で、予想できないやとか今まで、「社会の変化に主体的に対応する力」とか「出会ったことがない問題に、自ら考えて対応する力」が大切であるということを話してきましたが、こんな予想できないことが、今まであったでしょうか?
 今までも、地震や津波、台風や大雨洪水等の災害は毎年のように日本のどこかで起きています。そのたびに経験したことのない災害で命を落とすということも聞きました。北中でも他人事でなく、被災した地域に募金して復興を願いました。
 日本は何度も災害にあいながら必ず人々の助け合いや、知恵で復興しています。その時、力になるのは、学校で学んだ知識や知恵があり、思いやりの気持ちや、人々と協力できる人であり、心身ともに健康な人である場合が多いです。北中での学校生活で、そんな力を身につけて、未来の日本を支える人間になってほしいです。
 インドの偉人であるガンジーの名言に「明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい」という言葉があります。今やるべきことを先延ばしにしないで、日々一生懸命生きなさい。でも、人はそんなに強くないから一生懸命学んでも明日は忘れてしまうかもしれない。忘れたら思い出す、繰り返し何度も学ぶことが大切です。今回の新型コロナウィルスの対応を中学生で体験した皆さんは、一生忘れない、日頃学べないことを多く学ぶ機会になると思います。歴史の証人となって将来語り継ぐことになるかもしれません。
 最後に、皆さんにもう一度お願いします。卒業式が終わったら、皆さんがいままでお世話になった方々への感謝の気持ちを言葉で表してください。
 卒業生の皆さん、ほんとうにおめでとう。
 以上で、私の式辞といたします。
              令和2年3月14日 三郷市立北中学校 校長 大塚正樹